こんにちは、林です。
今日、お客様から質問がありました。
「なんでクロメートって、いろんな色してるの?」
たしかに。
当社は板金屋ですから、毎日のようにクロメート品を目にします。
ちなみにクロメートと言うのは、亜鉛メッキにクロメート処理を施した、表面処理の一種のことで、
めっきのなかではとても一般的なものです。
ものづくり業界の会話の中で「ユニクロ」と呼ばれる表面処理も、この仲間です。
新人の方が、『え、UNIQRO・・・?』となるのはもはや様式美ですね。笑
(正確にはユニクロは、アメリカのUnited Cromium社が開発した、
電気亜鉛めっき後のクロメート処理の商品名です。
通称として、専ら亜鉛メッキ光沢クロメートのことを指します)
クロメート品がいろいろな色をしているのはもちろん知っていますが、
改めて、なぜ?と問われると、上手な説明が出来ません。
なぜ、亜鉛クロメート品がいろんな色になってしまうのか。
調べた結果、この疑問にすっぱり答えることが出来たので、ご紹介させて頂きます。
ちなみに、「クロメート品」と大口に書いていますが、
これは「有色クロメート」のことになります。
クロメートには有色クロメート、光沢クロメート、黒色クロメート、緑色クロメートがあります。
今回の記事は、有色クロメートに関する物です。
①なぜいろんな色?
→クロメート膜は薄いが故に繊細なものなので、光の干渉によって色が変わって見えるからです。
クロメート膜は化学反応で形成されます。
クロメート膜厚は1μm以下。比べて亜鉛メッキ層の膜厚は一般的には3~15μmほどです。
薄いが故に、光の干渉によって色が変わって見えます。
②クロメート膜が薄いというのは、厚くできるものなの?
→クロメートにはそれぞれ適した厚みがあるため、厚くすれば良いという話でもないです。
防錆力を上げるには、亜鉛メッキの膜厚を厚くするべきで、クロメート膜厚はちょっと観点が違います。
③クロメート膜が薄いのはわかったけど、色を一定にすることはできないの?
→クロメート層を形成する化学反応をミクロ単位で制御できれば、色は一定になりますが、
さすがに物理的に不可能です。
メッキ液面のゆらぎや、メッキ層の温度の1-2℃のばらつきですぐに色が変わります。
④なんでクロメートが一般的なの?
→クロメート層には他のめっきにはないスペシャルな特性があります。
それが自己修復力です。
なんと自分で傷が治せちゃうんです。
これにはびっくりですね。
自己修復力がある = 一般的だ、と言うわけではありませんが、
他にも、単純に処理費用が安価・メッキ業者が多い・六価フリーを選べて環境に配慮もできる
といった様々な利点があります。
まとめ
アパレル業界と言われて想像しやすいのがUNIQROさんであるように、
めっきと言われて想像するのも、ユニクロなんですねぇ。
おあとがこれでよろしくなったようです。
めっきは奥が深いので、気になることはご自身で調べてみるのが一番良いと思います。
それでは本日は、特急納品が得意な試作の日新産業の営業、りんりん改め林でした。
お読みいただきありがとうございます。
(今日の記事の中に「専ら」という漢字使いましたが、皆さん読めましたでしょうか?)